製品安全のすゝめ その1 〜製品事故はなぜ起こるのか 〜

あおのです。
11月も半ばになり、寒さも本格化してきました。
打ち合わせ室の足元対策に暖房器具を選んでいるのですが、6人掛け会議テーブルの足元を温めるのに適した製品を探しあぐねています。
何か良いのはないですかね。

さて、暖房器具の話も出ましたので、今回のテーマは製品事故についてです(関係ない?)。

暖房器具のような電化製品はもちろん、世の中には色々な製品が存在します。
そして、製品には必ず寿命があり、いつかは壊れてしまいます
もちろん普通に壊れて動かなくなってしまえば、「げっ!!壊れた!!」で済むのですが、ときには製品が火を吹いたり、人を怪我させたりすることがあります。
また使い方を誤ると、同じように人の財産や健康を損なうことがあります。
製品事故とは、製品の欠陥や故障、誤った使い方など、製品の使用によって、人の生命や身体、財産などに危害を生じるアクシデントを言います。

では、そんな製品事故は、なぜ起こるのでしょうか。
今回はそんな哲学的なところからのお話です。

お猿さんから進化してきた人は、その長い歴史の過程で様々な道具を生み出しました。
古くは自然界に存在する「火」を自身でコントロールして道具としましたし、楽に早く移動する為に車を生み出しました。
皆さんがこのブログを見ているパソコンやスマホなどは、インターネットというハイレベルなインフラであり、現代技術の先端的な道具と言えるでしょう。

このように技術が発展してくると、昔の火を起こして包丁を使って生活するという誰にでも思い付く道具ばかりではないため、高度な技術を備えた道具を作る人は専門的になり、出来上がった道具を使うだけの人と分かれるようになります。

また技術が高度になればなるほど、使う人は、その道具がどんな構造になっているかを考えず、大きな危険があるかもしれないとは意識しないまま使用してしまいます。
そして、高い技術を用いることで、気付かないけれど、しかし大きな危険性を孕んだ製品が身近に出回ることがあります。
電子レンジでお弁当を温めるときに、「今、庫内のマグネトロンから照射されるマイクロ波によって、お弁当のハンバーグの水分子が急激に振動して発熱している。うん、これくらいでお弁当のハンバーグも中まで温かいはずだ」と思って使う人はいません(いたら私と話が合いますw)。
でも高周波なので、用途以外に照射されるとホントはとっても危険なのです。

このよう社会の変化によって、製造者であるメーカーと使用者であるユーザーが分化し、メーカーは圧倒的な製品についての情報を持つのに、ユーザーは言われるままの使い方をし、製品の隠れた危険性などの情報を持ち得ない状況に陥ります。

また、人口が増えて大量生産大量消費の社会に合わせるため、安価に効率的な製造販売が志向されます。
製品の安全性は極めて重要な製品に求められる性質ですが、しかしメーカーにとっては目に見えるような利益に直結しません。
そのため、メーカーが効率的な利益追求をしようと思うと、安全性についての調査や製品の機能が省略されがちです。

このように見てくると、作り手と使い手が分化し、メーカーとユーザーには情報格差が生じますが、消費社会に合わせてメーカーが利益確保等のために製品の安全性確保に手が回らないような場合、製品の設計ミスや誤った使い方などによって製品の持っている危険性が発現し、大きな事故を生じてしまうという結果に陥るわけです。

製品事故を防ぐためには、そのような社会構造の変化を念頭に置き、現代社会においてどのような製品製造の姿勢が求められるかを考えていく必要があります。

しばらくこのテーマで連載をしてみたいと思います。

なお、実は、私が事務局を務める「製品安全研究会」という弁護士の研究会から、近々、「製品開発メーカーのリスクマネジメント 失敗学から学ぶ部門別留意点」と題した書籍が出されます。
この研究会は、ユーザー側・メーカー側といった一方当事者の視点にとらわれず、製品事故の被害救済と事故の原因究明・再発防止を目指して取り組んでいる団体です。
私がその本の中で執筆を担当した第1章では、上記の考え方について詳しく述べています。
詳しく知りたい方は参考にされてください。

宣伝も兼ねて(笑)。あおのでした。
弁護士  青野博晃