ネット風評被害対策のすゝめ その1

連日の猛暑により、身も心も溶かされています。あおのです。
「暑気払い」と名の付く飲み会が16件もあったりして、暑気を払い過ぎて寒くなるかと思いきや、今年はひどく暑いですね。

さて、人がやらずにあおのがやる法律分野の一つに、IT・ソフトウェア関係があります。
先日、ある業界団体の会合にお呼ばれした際にネット上の誹謗中傷対応で盛り上がったので、今日はこのお話。

面識のあるお客さんがほとんどのあおのの人脈では、プチ相談(無料w)はだいたい飲み会の二次会以降だったりしますが、よく、「会社の悪口を掲示板やブログに書かれたからなんとかしたい」というお話をされることがあります。

そんなインターネットにおける誹謗中傷は、書込みの内容が会社の名誉や商業上の権利などを侵害する違法なものであれば、少なくとも削除であれば可能なケースが多いです。
そして、交渉による場合と訴訟による場合がありますが、いずれも前提として、「違法な権利侵害にあたること」が必要となります。

どんなケースが権利侵害になり、書き込みを消せるのか、は第二弾を書くこととして、今回は大まかな手続きの流れを解説します。

皆さんがこのブログを読むときは、パソコンやスマホなどを使ってインターネットに接続し、この事務所のホームページにアクセスしているはずです。
そして、あおのがこのブログを書き込むときも、同じ方法でアクセスし、投稿を行います。
投稿する人と閲覧する人を繋ぐのは、当該ホームページ(このブログ)ということになります。

では、投稿が名誉毀損であった場合には、まず誰に文句を言えば良いのか。
これは、ホームページを管理して権限を持っている人になり、書き込んだ人と運営者が違う場合であっても、権限を持っている人=運営者へアプローチすることになります。
例えばこのブログとは違い有名なブログサイトを使っている場合、ブログを開設している人でなく、運営元(アメブロとかFC2とかはてなダイアリーとか)が相手になるということです。

文句をつける方法としては2つのパターンがあり、先にも書いた交渉と法的手続き(保全)です。

交渉はその名のとおりで、運営者に消してくれるよう依頼します。
しかし、ただの交渉の場合、運営者は難しい判断を迫られることがあります。
つまり、運営者=投稿者でない場合、運営者は他人の表現を勝手に消すことになってしまいます。
他人に影響を与えていろんな意見や考え方の醸成に繋がっていく点に人間の行う表現の価値があり、正しい表現・間違った表現というのはなかなか決められません(表現の多様性)。
民主主義社会では表現はその社会的な価値が高く尊重されており、勝手に人の表現を一方的に消す(言論を封殺する)ことは、投稿した人から訴えられることがあります。
そのため、安易に判断することはできず、殺害予告や明確な著作権違反など例外的な場合以外には、なかなか交渉だけでは消えにくいのが一般的です。
あおのは交渉勝ちしたことも結構ありますが粘りが必要です。

そのため、もう一つの手段、法的手続きの方が早いことがあります。
普通、訴訟は1年近くかかりますが、ネットにおける名誉毀損であれば投稿が残り続ければ日々社会的な評価が下がり続けるため、一刻も早く削除が必要です。
そのため、ネット上の名誉毀損では、保全手続(仮処分)という迅速な手続きを使います。
これは「本当に違法かどうかはちゃんと裁判しないとわからないけど、違法な可能性も相当程度あるから、仮に削除しなさい。文句があれば、ホントはどっちかは裁判で後から決めよう」という判断を裁判官がする手続き(ざっくり過ぎて裁判所に怒られそうですが)になります。
そのため、早期に(1ヶ月以内くらい)で結論が出ることもありますが、後で違法でなかったら削除したことが逆に権利侵害になるので、担保金というお金を法務局に預けておいて賠償金を担保することになります。

仮にであっても削除ができれば本来の目的は達成できますので、満足的仮処分と言わています。
スピードも早いので、あおのは下手に長い交渉をするよりはこちらの方が圧倒的におすすめです。
削除された側が改めて訴えて来なければ、一定期間後に担保金も帰ってきて、手続きは終了になりますので、削除だけならこれで終わることがほとんどです。

また、一緒に「誰が投稿したのか」を開示させる手続きも併せて行い(今度書きます)、投稿者を調べて損害賠償したりして、再発防止に努めることも必要になります。

以上が削除をする場合の手段で、次は、どんなときに削除ができるのか、ネットの風評被害のポイントを書きたいと思います。

暇を見ながらになりますが、このネット中傷対策シリーズ、連載に挑戦してみます。
途中で飽きたら別の話し始めるかもしれませんが(笑)。

では、また次回!いつの日か!(笑)
弁護士 青野博晃