弁護士会って強制加入?

あおのです。

先日、弁護士会の選挙がありました。

弁護士会という組織は、会長や副会長、常議員といった弁護士会の中での役職を直接選挙で選びます。

弁護士会は一種の「村社会」で、弁護士は全員が事務所のある地域の弁護士会に所属していなければなりません。

弁護士会には別に上下関係があるわけではないのですが、組織のリーダーとしての会長や副会長(「理事者」と呼ばれます。)が会としての活動を取りまとめ、投票によって常議員として選ばれた弁護士が議会による意思決定をするという議会制民主主義に近い構造になります。

ちなみに、あおのは東京弁護士会、略して東弁に所属していて、東京には第一東京弁護士会(略して一弁)と第二東京弁護士会(略して二弁)もあったりして、歴史的な経緯で3つになってるんですが、これは長い話なので置いておきます。

そんな東京弁護士会の選挙が先般行われたわけです。

 

そんな弁護士会、そもそも、なぜ弁護士はみんな入らなければ「いけない」かというのが今回のお話です。

答えは、弁護士法で決まっているから、という簡単なお話。

いわゆる強制加入団体ってやつです。

そのため、すべての弁護士は弁護士会に入会して、決まった会費を納めなければならず(毎「月」五万円近くします!!)、弁護士会に加入しなければ、弁護士として仕事をすることはできません。

たとえ司法試験に合格していても、弁護士会に入らずに弁護士業務を行うと、非弁活動として「犯罪」になるという法律になってます。

 

では、何故、弁護士会に入ることが法律上必須なのかというと、これは弁護士会の社会でのあり方に大きく影響されているのです。

最近はお客さんのお金を横領したりする弁護士がニュース沙汰になったりしていますが、弁護士が悪いことをすると犯罪になって警察に捕まることはあるとしても、弁護士資格の剥奪などの懲戒処分は、国家が行うことはできません。

弁護士への懲戒処分は弁護士会が行うという弁護士自治が法律上認められ、この点への国家の介入を許しません。

 

何故なら、弁護士は、市民の人権のために国家と戦うことがあるからです。

たとえば、冤罪で逮捕されて裁判にかけられている人がいるとすると、犯罪として裁こうとする検察(国家)に対して、無罪を信じて弁護活動を行う必要があります。

国家も運営しているのは個々の「人」なのですから、その間違いを正さなければいけないことがあります(本当に間違いがないのかを検証するためには戦わないとわからないこともあります。)。

そんなとき、国家が弁護士に対して懲戒処分が行えると、「国に逆らうなら資格を剥奪するぞ!」と脅されると、弁護士も家族を養って生活をしなければなりませんから、自分の全てをかけて依頼者のために戦えるかという究極の選択を迫られてしまうことになります(あおのはそれでもご依頼者のために戦います・・・たぶん・・・きっと・・・)。

実際に、国家が弁護士を管理していた戦前ころには、そんな圧力がかけられ、実際に資格を失った弁護士もいたそうです。

そうすると、最も不利益を被るのは、市民の皆さんだったりします。

 

一方で、弁護士は法律に基づく色んな活動ができるので、悪いことをしようと思うとできちゃいます。

なので、完全に野放図にすると、これもまた市民の方が不利益を被ったりします。

 

ということで、弁護士が弁護士会を組織して、自分たちで自治をすることになったのです。

弁護士会として社会のためにどう活動するかを考え、弁護士としてどうあるべきかのルールを作り、悪いことをした弁護士への懲戒処分は委員会を作って自分たちで行う。

弁護士は、人権と社会正義を護ることが使命であると(少なくとも法律では)されていますが、個々人の弁護士の活動では出来にくい規模の大きい活動や費用がかかる活動は、弁護士会が主体となったり経済的な支援をしたりしています。

ざっくりいうと、これが弁護士自治です。

 

そんなわけで、実は弁護士自治はとっても大事な制度で、それを支える弁護士会が強制加入団体であることということにも、大きな意味があるんですね。

なので、弁護士会の選挙ってホントに大事なんですが、選挙の日は弁護士会館にすごい数の弁護士が集まって選挙活動したり(派閥ごとに選挙活動するという点も村社会です。)、投票後に雑談してたり、開票後の打ち上げの準備したりしてます。

新刊の法律書籍の即売会とかもしています。

あおのも選挙後は、久しぶりに会った同期と話したり、本を大量買いしたりしました。

まぁ、夜店は出てませんが、お祭りみたいなものですね。

制度としての重要性はさておき、結局、みんなお祭り好きな人種のようです(笑)。



弁護士 青野博晃